株式会社笹戸建築事務所 白坂沙佑希さん
「携わった建物が実際に建って喜んでもらい、その建物が残ること」と設計の魅力を話すのは、笹戸建築事務所(周南市新町、小倉凡社長)の白坂沙佑希さん。入社5年目の白坂さんは現在、ボートレース徳山に整備する屋内・屋外遊戯施設の設計に携わっている。そこで、仕事の魅力や設計業界に入るきっかけなどを聞いた。

仕事内容は
建物の意匠設計を担当している。図面を描いたり、顧客との打ち合わせを行ったり、たまに現地調査にも出向くことがある。私のアイデアも取り入れてもらいながら施主への説明も担っている。
設計業界を選ぶきっかけは
幼い頃から家やインテリアのことが好きだった。地元は家具で有名な福岡県大川市で、ものづくりに触れる機会は多かった。建築やデザインに興味があり、小学生の頃には何となくだが将来は建築の仕事に携わりたいと思っていた。
大学の設計課題に公共施設があり、課題をこなすうちに公共施設を実際に設計してみたいとの思いになった。卒業設計では、大川市のコミュニティ施設をテーマに敷地いっぱいに約6000㎡の木造平屋建の建物を制作。家具と建築を融合させ、家具に触れて製作体験ができる施設をつくった。
就職の際、特定の建物だけではなく、さまざまな建物の設計に携わることができるのは設計事務所だと思った。職場の先輩も同じ大学で教授と仲が良く、就職のことで教授に相談すると今の会社を紹介してもらった。
印象に残っている仕事は
豊浦高校の木造平屋建で約200㎡の食堂棟設計。初めて担当者として設計に関わり、最初は何から手を付けたら良いのかという状態だった。慣行や法律などわからないことだらけで、先輩たちにいろいろ相談して時間も凄くかかった。木造なので木を見せるデザインとし、食堂部分に広い空間をつくること、厨房部分は設備などがあるために小屋組の一部が干渉するなど調整に苦労した。屋根の形状を片流れにしたのは、ガラス張りを多くして日射しを取り入れ、明るい空間で食事ができるようにするため。
今後の目標は
仕事のことを先輩に聞いてばかりなので、自分の強みを見つけ、任せてもらえるところを増やしながら、今後は一人で全てを対応できるようになりたい。白坂に任せたら安心と言ってもらえるようになりたい。設計後、実際にどのように使われているのかなど見られる機会は限られているので、図書館やコミュニティ施設、商業施設など人が使っていることがわかる施設の設計に携わってみたい。また、一級建築士を目指して猛勉強中で、ぜひ合格したい。
【しらさか・さゆき】
2021年3月に福岡大学工学部建築学科を卒業後、4月に笹戸建築事務所入社。好きな言葉は「なせば成る、なさねば成らぬ、なにごとも」。自信が出ない時に自分に言い聞かせている。趣味は旅行でまだ行ったことのない北海道を訪れてみたい。1998年4月4日生まれ。福岡県大川市出身。
中建日報 2025/10/1