建設業界若者インタビュー

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(株)巽建設コンサルタント 建築部 大田亜由美さん

「大工の父親と神社や仏閣などの伝統建築を手掛ける工務店を経営する叔父の背中を見ながら育ちました。子供のころ現場に行って掃除などの手伝いもしました。一般のお宅を紹介するテレビ番組(建もの探訪)を見るのが大好きで、毎回録画して見ていました」などと、幼少のころを懐かしみます。

 高校は商業高校に進学。卒業時に友人から見せてもらった建築専門学校のパンフレットを見て「女性でも建築ってできるんだ」と思うとともに、子供のころの建築に対する思いが重なって、建築の道へ進む第一歩となる広島工業大学専門学校建築グラフィック学科へ進むことを決めました。

 卒業後は「叔父の工務店に入社、そこで父親や叔父、気難しい職人さん(笑)に木造建築のノウハウを教えてもらいました。26歳の時に1級建築士の資格を取得、31歳で結婚、長男を出産するまで社員として勤務。出産後はパートとして働き続けました。幸いにも母親に子供の面倒を見てもらっていましたが、時には授乳しながら仕事をしたこともありました」という。

 印象に残っていることは「岩国白蛇神社の拝殿、本殿の建築。そこで職人(宮大工)さんの技(木組み、継手、仕口)を目の当たりにして未熟さを感じました。設計、監理に携わりましたが、今思うと職人さんのお手伝をしたっていう感じだったのかも知れません(笑)。しかし、無事完成した時は満足感と達成感を味わいました」と回想する大田さん。

 設計コンサルタント(光市光ケ丘、光井謙二社長)には2015年9月に入社。「会社の理解があって家庭中心、子育て中心を維持しながら勤務できるパートタイムで働いています。過去、女性が入社しても、自分に合わない、雇用形態が合わない、結婚とかで辞める人もいました」と話してくれました。これからは家庭、子育てを中心とした雇用形態(パート)が、会社を経営して上で必要不可欠になりつつある。そういった意味でも女性技術者の大田さんには大きな期待が寄せられています。

 入社まで木造建築しかやっていないという大田さんは「病院や官公庁などの大きなハコモノを手掛ける県内有数の設計事務所に入り、同じ建築でも全くジャンルが違うため最初は戸惑いました。皆さんのスキルは高くて、しかも仕事が速い。個人の工務店では学べないハイレベルな技術にふれ、新しいことをどんどん覚えることができ、楽しく仕事ができました」と入社当時を振り返ります。

 「入社当初は、補助的な事務、図面作成、トレース、3D、模型づくりなど通じて、いろいろなことを学びました。印象に残っていることは、山口警察署新築の模型づくり。結構大変でしたが、完成した警察署を見に行って感動しました。これからもプロジェクト(大型物件)の一員として、学んだことを発揮し、さらにスキルアップを図りたいです」と新たな闘志を燃やしています。

 目標は「なおいっそうスキルアップして、もっと大きなプロジェクトの一員として、第一線で活躍すること。子育てが落ち着いたら正社員になれーと言われています。大変嬉しく思っています。その反面、戸建て住宅が好きなので、いつかまたチャレンジしたい気持ちもあります」と語りました。

プロフィール

座右の銘は”継続は力なり”。趣味はランニングほか。家族は夫、長男、次男。1977年4月19日生。岩国市出身。

中建日報 2020/4/21(No.200421007)