三和建設株式会社・東ソー事務所 山川 凱琉さん

「勉強したことが現場で出た時、『ああ、このことか』とつながった時、少しだけ自分の成長を感じる」と、はにかみながら印象的な白い歯を覗かせたのは、三和建設・東ソー事務所の山川凱琉氏。サーフィンで潮焼けした髪が、アクティブな人柄を物語っている。入社以来、多くの現場で施工管理として汗を流す中、その努力は早くも実を結び、この夏、一級建築施工管理技士取得へつながる第一次検定に見事合格。大きな一歩を踏み出した。
出身は山口県周南市。聖光高等学校時代はサッカーに打ち込み、「目の前のことに全力で、まだ具体的な将来像は描けていなかった」と当時を振り返る。卒業後、自営業で土木工事を手掛ける父の会社に就職。三年間、現場で下積みを経験する中で、大きな転機が訪れる。様々な新築住宅の現場に携わるうち、その魅力に惹かれていった。「いろいろな家の形や間取りを見るうちに、デザイン性の高い建築の仕事がしたい、と思うようになった」。
その想いを実現するため、広島工業大学専門学校の建築学科へ進学を決意。周りは工業高校の出身者が多く、現場経験があるとはいえ、知識面ではほぼゼロからのスタートで、当初はその差に苦労したという。しかし、それ以上に学びの楽しさは大きかった。「それまで何気なく『家だ』と見ていたものが、様々な部材に名前があり、緻密な計算の上に成り立っていると知った。世界が深掘りされていく感覚が面白かった」。二年間で建築の基礎を徹底的に学び、新たな世界への扉を開いた。
就職活動では「県内に残りたい」という軸があり、恩師の勧めで三和建設と出会った。「人がものすごくいい。困っても一人で抱え込まず、すぐに相談できる風通しの良さ」に惹かれ入社を決めた。
現在は施工管理として、主に補修依頼の現場を担当。一日三現場を掛け持つこともある。技術者として自ら手を動かした土木の現場とは違い、多くの業者を動かし工程を調整する管理者の立場だ。「一つの業者が遅れると、次も遅れてしまう。工程調整は本当に難しい。責任の重さが全く違う」とその厳しさを語る。
第一次検定の合格は、彼にとって大きな自信となった。しかし、それに安住することなく、視線はすでに最終関門である第二次検定、そしてその先を見据えている。「まずはこの資格を完全に自分のものにしたい。ゆくゆくは土木の施工管理一級も取り、両方の知識を持つ技術者になりたい。そして、いつかは大きな現場を任されるのが目標だ」と語る目は、挑戦者の輝きに満ちていた。
「性格は結構直感派で後悔はあんまり」と言う。その言葉通り、自ら選んだ道を信じる強い意志が、未経験の建築の世界へ飛び込み、道を切り拓いてきた。彼の歩みは、これから社会へ羽ばたく後輩たちにとって、一つの道標にもなるだろう。
【やまかわ・がいる】
2000年10月生まれ。趣味はサーフィン。入社と同時期に誘われたのを機に夢中になり、長期休暇には宮崎まで遠征するほど。
中建日報 2025/9/22