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(株)大島組 建築部 井本梨緖さん

「コロナ禍の真っ只中で、その年の募集がゼロだった」と、とんでもないアクシデントにも関わらず、屈託の無い笑顔で話すのは、昨年4月に大島組(岩国市、足谷浩司社長)に入社した井本梨緒さん。

画像:井本梨緒さん

 実は彼女、入社前は広島外語専門学校エアラインコースでキャビンアテンダントを目指していた。その畑違いに驚くが、スラリと伸びた手足に高い身長は、それを裏付けるには十分だ。しかし冒頭の言葉通り、彼女を乗せた飛行機が飛び立つことはなかった。同期の友人はホテルの受付など、学んだことを生かす道へ進む中、彼女自身の奥底に流れる「ものづくり」への情熱が再燃し、業界への門戸を叩いた。

 井本さんの母は、岩国市で工務店を起業し、リフォーム業の第一線で活躍する職人。母の周りは、いつも職人たちであふれ、井本さんは日常的に匠の技に触れる幼少期を過ごした。やがてものづくりに憧れを抱き、県立柳井商工高等学校建築・電子科建築コースへ進学。「職人になりたい気持ちはあったが、自分の持ち味を生かしたい気持ちが強くなって見つけたのがCAだった」と当時を振り返る。

 紆余曲折の末、再びものづくりに目覚めた井本さん。しかし母は大反対。「女性として業界の大変さを体験してきたからこそ、生半可な覚悟は許してくれなかった。就職が決まった時も『名を汚すな』と釘を刺されたし、周囲に迷惑だけはかけるなと手厳しかった。今は一番の相談相手で心強いけど、大体いつも叱られる」と苦笑い。

 印象深い仕事は、所長と二人だけで担当した住宅建設現場。それまで誰かに頼ることができたが、所長も忙しくていないことも多く、それができない。職人が矢継ぎ早に聞いてくるが、質問の単語すら理解できず、調べて知識を増やす日々が続いた。所長の指示を伝えるにも、理解してないと伝えられない難しさも味わった。「設置済みのトランシットをレベルと間違えて動かして大目玉を食らった。そんな失敗もしながら、わかることが一気に増えて、自分の成長を感じることができた」と語った。

 現在4現場目。雰囲気にも慣れたが、4月から女性の新入社員が下に付いて、プレッシャーを感じる毎日。「私も教えてほしいことだらけなのに、上と下から見られるってホント怖い。新人からポンコツの烙印を押されないよう、毎日勉強をさせてもらっている」と笑う。

今後の目標を尋ねると「ひとりで現場を回せるようになること。コスト管理はまだ難しいが、3年目までには工程・品質・安全の管理をこなせるようになって、後輩から頼られるようになりたい」と、大きな瞳を輝かせた。

プロフィール

【いもと りお】
2002年1月生まれ21歳。岩国市出身。両親に姉の4人家族。趣味は格闘技好きが高じて19歳から始めたキックボクシング。「『RIZIN』に憧れて、本当は総合格闘技がやりたかった。今、歯の矯正中で無理だけど、終わり次第キックの試合にも出てみたい」と才色に強さも兼備。

中建日報 2023/8/7